保健士とは

保健師

保健師は健康の維持や増進、生活の改善などの指導を行ったり、
公衆衛生や感染症の予防等に務めたりする専門家です。

保健師になるには、保健師養成校や大学などで一定の養成教育を受けた後、
保健師国家試験を受けて合格し、厚生労働大臣による免許を
取得しなければなりません。試験科目は、公衆衛生看護学・疫学・
保健統計学・保健医療福祉行政論となっています。
保健師が働く場所は大きく、行政機関・企業などの
産業界・学校などの教育現場となっています。

行政機関で働く保健士

行政機関で働く保健師は、保健所や市区町村役場の保健課などに所属し、
地域住民の健康サポートや、インフルエンザ等の感染症が
蔓延するのを防止するなどの業務にあたるのです。

保健所では女性が妊娠した際に母子手帳の交付を行っていますが、
交付後、妊娠期間、出産、育児の時期を通じて、1人1人の妊婦を気にかけ、
適切な助言や指導を行って、妊産婦や若いママのサポートをしたり、
赤ちゃんの健やかな成長を確認したりするのも重要な業務の1つになっています。

地域によっては、妊産婦や出産後の育児の状況を自宅訪問して確認し、
困っていることはないか確認したり、発育状態は良好かなどを
チェックしたりするなど、細かなケアを行っているケースもあります。

この活動は、子育てにストレスを抱えメンタル的な問題が生じているママに手を
差し伸べるなど、乳幼児への虐待の早期発見につなげるのに効果があるのです。

核家族化や地域コミュニティの希薄化で、家庭内や近隣に頼れる人が
いない孤独で心細いママたちを励まし、育児の心強いサポーターとしての
役割が保健師に期待されているのです。

また、最近では地域住民のメタボ対策や生活習慣病の予防、高齢化する
住民の介護予防や口腔指導など、現代社会の実状に合わせた
柔軟なサポートも行うようになっています。

企業で働く保健士

次に、企業等で働く保健師についてみてみましょう。
企業などに所属する保健師は産業保健師とも呼ばれ、古くは労働者の
労働環境の改善や、労働の安全衛生などに関する業務に携わってきました。

しかし、現在では、地域における保健師と同様、従業員のメタボ対策や
生活習慣病の予防や改善に対する指導やカウンセリングを行っています。
また、最近問題化している、うつ病や出社拒否等の社員に対するケアや、
働き過ぎや職場の人間関係に起因するメンタル的な問題への対処、
自殺予防の運動にも対応しています。

近年では海外に進出する企業も増え、鳥インフルエンザ等の流行では
各企業がBCP(事業継続計画)の作成に迫られました。
感染症予防の知識を持つ保健師は、そうした計画にも意見を述べ、
その対策に積極的に取り組むことが求められています。

3つめとして、教育現場における保健師についてみてみます。
学校における保健師は、いわゆる養護教諭と呼ばれる役割です。
保健師の試験に合格後、申請を行うことで養護教諭の2種免許を取得できるのです。

児童や生徒の急な病気や校内でのケガの対応、健康診断での主導的な役割、
校内で実施される予防接種等での補助業務、保健便り等を発行し季節的に流行する
インフルエンザや食中毒などの感染防止を啓蒙するなどの業務を担っています。

それぞれ、公務員・民間企業の職員・学校職員と、働く立場は異なりますが、
その専門性を活かし、時代に即した、人々の健康管理と公衆衛生を
担う重要な役割を果たしています。