あまり馴染みのない臨床検査技師

臨床検査技師は検診や病気の診断や治療、
病気や感染症の原因を突き止めるために高度な科学的知見に
基づいた検査と分析を行っています。

医師が治療を行ったり、病気の研究をするうえで欠かせない役割を担っています。
臨床検査技師になるには、所定の養成課程のある大学や
3年制の短期大学・専門学校等で学んだあと、
国家資格試験に合格し厚生労働大臣から免許を受ける必要があるのです。
資格取得後の活躍の場は、病院をはじめ検査センターや研究所、
医療機器メーカーなどがあります。

臨床検査技師が行う検査とは

臨床検査技師が行う検査の具体的な内容を見てみましょう。
職場などで毎年実施される健康診断では、尿検査にはじまり、
心電図検査、血液検査、眼底検査など様々な検査が行われます。

こうした検査や測定自体は看護師の手によって行われますが、
その後、しばらく時間をおいて、みなさんは健康診断の結果を通知され、
各種検査における詳細なデータを手にすることになるのです。

この検査データは臨床検査技師が採取された尿や血液、
心電図等のデータをもとに分析をしたものです。
例えば、採取された血液は遠心分離機にかけるなど
高度な技術を駆使して分析が行われます。

その結果、赤血球や白血球の数、
糖分やコレステロール・中性脂肪・γ-GTPなどの検出が行われ、
貧血や糖尿病・動脈硬化の疑いなどが確認でき、
病気の予防や早期発見につなげることができます。

また、食中毒や感染症が発生した場合などには、
微生物検査を実施して検査結果が出るのです。
この検査により、肺炎球菌・病原性大腸菌O-157や
サルモネラ菌・MRSA・エイズウィルスなどの検出を行い、
病原を突き止めたり、今後の感染防止に役立てることができます。

臨床検査技師の仕事は直接、患者さんと接することはありませんが、
人々の健康のために大変重要な位置づけにあるといえます。
もっとも、検査室内での検査にとどまらず、
直接、患者さんとのコミュニケーションを図りながら
検査をするケースも多くなっています。それが、超音波検査です。

超音波検査は体の外側に超音波を当てるだけで確認でき、
副作用も特段ないため、検査を受ける方にも負担が少ない検査方法です。
医師との連携のもと、ガンをはじめとする様々な病気の発見に役立つとともに、
妊娠中の女性の胎児の成長などを確認するうえでも重要な検査となっており、
この検査スキルをもつ臨床検査技師の重要性も高まっています。

必要な知識やスキル

このように臨床検査技師の仕事は、
高度な生物学・薬学・医学的な知識の習得だけでなく、
より精密な検査結果を導き出すために進化を続ける高度な検査機器や
医療機器を使いこなす知識とスキルを身につけなければなりません。

日々の業務に専念しつつも、新しい機器に対応できるよう
情報のキャッチアップやそれに対応できるスキルのブラッシュアップが必要になります。
さらに、近年では、人々の膨大な検査データを見てきた経験を活かし、
一般市民に向けてメタボリック症候群やエイズの予防の啓発を行うなど、
検査室を飛び出して早期検査の重要性を訴える活動も展開しています。