音楽療法士

音楽療法士とは

音楽療法士という資格をご存知でしょうか?
ご存知の方や実際に音楽療法士による療法を体験したことがある方は、
まだまだ少ないかもしれません。
音楽療法士は音楽を通じて人々の心や体の健康の維持や
向上に役立つための指導や療法を行う仕事です。

音楽療法とは

音楽療法では、音楽を聴く、一緒に楽器を鳴らす、歌を歌う、
リズムに合わせて体を動かすといった活動が実践されます。
これにより、ストレスや悩みから解放されたり、日常の生活に活気を取り戻したり、
障害を持つ方や子供の成長に良い影響を与えたり、
高齢者の認知症の予防や改善・寝たきりの予防・機能の回復に効果を発揮されるのです。

落ち込んだときや悲しい出来事があったときに、
歌を聞いて勇気をもらったという経験がある人は多いと思います。

また、自分の娘や息子の名前は忘れてしまったのに、
子供の頃に覚えた歌は歌えるという認知症の高齢者がいたりします。
このように音楽には人にパワーを与えたり、記憶を呼び覚ましたり、
元気を取り戻して、日常生活に活気を与える効果があるのです。

音楽療法士の活躍の場としては、病院のリハビリテーション施設や小児病棟、
子供の発達障害に対応する施設や児童施設、
老人ホームやデイサービスセンターなどが挙げられます。

また、保育士や幼稚園教諭、学校の音楽教諭などの資格とダブル取得して、
幼児教育や学校教育の場で活かしたり、
音楽スクールなどを開いて音楽療法を広めることも可能です。

もっとも、音楽療法士の資格は現在のところ、国家資格ではありません。
民間の機関が一定のカリキュラムを習得した人に対し、
音楽療法士の認定を与えているものです。

ニーズが高まる音楽療法士

さらに複雑なことに民間の認定機関も1団体だけではなく、複数存在しています。
ますます深まる高齢化や、ストレスの多い現代社会において、
音楽療法士に対する潜在ニーズがあることは明らかであることから、
これから発展していく資格と言えるでしょう。

複数の団体の中でも、日本音楽療法学会は、
聖路加病院の理事長で100歳を超えても現役医師として活躍を続ける日野原氏が
理事を務める団体で、音楽療法士の国家資格化および
法制化に向けて活動を起こしています。

2011年時点で全国に9つの支部があり、
6000名余りの会員を擁する規模の大きい音楽療法士の所属団体であるため、
音楽療法士に興味を持たれた方は、
この学会で認定を受けることを基本に考えてみるといいかもしれません。

音楽療法士になるには

日本音楽療法学会認定の音楽療法士になるには、
高校や大学等を卒業後に指定された認定校に入学してカリキュラムを修得するか、
学校卒業後に臨床経験を3年以上積んだ後、
学会の定める講習会を受講することが必要になります。

臨床経験には音楽教諭やピアノ教室の講師など音楽関係の実務のほか、
作業療法士や理学療法士・医師・看護師・介護士等の音楽を使用しない
臨床経験でも認められます。

いずれのケースにおいても、筆記試験と面談試験があり、
この2つの試験をクリアして学会認定音楽療法士の資格を取得することができます。
医学や心理学・福祉・教育などの専門知識を問う筆記試験のほか、
ピアノなどの実技試験も行われるのです。

音大を卒業してもプロの演奏家になれる人は稀であり、
音楽教師としての活躍の場も少子化により先細りと言われています。
このような中、音大卒業後に音楽療法士の資格を取り、
病院や老人ホームなどで活躍の場を広げる方が増えています。