カテゴリー: 治療のサポートをする

  • 臨床工学技士

    臨床工学技師とは

    臨床工学技師とは国家資格の一つで、医療機関において、医師の指示の元で生命維持管理装置の操作を行う技師の事を指します。操作というのは生命維持管理装置の先端部分を患者の体に接続したり、また取り外しの際に体から除去する事を指します。生命維持管理装置の取り付けについては国家資格をもった技師ではないとできないことになっているんですね。

    生命維持管理装置とはどういうものを指すのでしょうか。生命維持管理装置は例えば患者が自分の力で生命維持の為の活動ができなくなった場合に外部に取り付けた機械を利用することでその生命の維持を行うというものです。通常生命を維持する為の呼吸や心拍などは自分の意思とは関係なく行われます。自律神経と呼ばれる神経が、その人の意思とは関係なく体を動かしているんですね。

    しかしながら大きな事故などで体に障害が発生したり、脳に大きなダメージを受けたりすると、これまで意識せずとも行われていた生命維持活動が自律しておこなわれなくなる場合があるのです。その時にこの生命時装置を取り付けて呼吸や血の循環などを機械によって制御し、生命の維持を行うのです。

    臨床工学技士の仕事

    臨床工学技士はその生命維持管理装置を操作、そして保守点検し、医師の具体的な指示の元でこの生命維持管理装置の取り付け、取り外しを行います。臨床工学技士一人の一存でこの装置を操作したり、取り付け、取り外しを行うことはできないのです。あくまでも装置を動かし、管理するためのプロフェッショナルとして、医師または医療関係者と細かい連携を取り、診療補助としての生命維持管理装置の使用を手助けするのです。

    生命維持管理装置はどのようなものがあるのでしょうか。まず自分で呼吸ができなくなった患者に取り付ける人口呼吸器、そして心肺を自分でできなくなった人には人工心肺器が取り付けられています。血液を綺麗にする腎臓が不全により機能しなくなった時は、人工透析と言って血を外部の透析機械にかけて血を綺麗にします。これも生命維持管理装置の一部として考えられます。ペースメーカーも同じく生命維持管理装置の一つとして人の命をつないでいるのです。

    臨床工学技士は通常病院やクリニック、医療機器メーカーに就職してその技術を活かして仕事をします。しかしまだその知名度は低く、放射線技師などと比較しても浅い歴史しかありません。そのため現状の待遇が他の技師と比較して低く設定されてしまいがちという問題もあります。

  • 理学療法士

    理学療法士とは

    理学療法士は身体の機能や動作に関するエキスパートで、
    大学や3年生の短大・専門学校などで、
    解剖学、生理学・運動学・病理学概論・臨床心理学・
    リハビリテーション医学・臨床医学など所定のカリキュラムを修得したあと、
    国家試験に合格し厚生労働大臣による免許を受けることで仕事に就くことができます。

    活躍の幅が広い

    理学療法士の活躍の場は幅広く、事故や病気などで身体機能に障害を負ったり、
    日常生活が困難になった方の支援から、スポーツ選手のリハビリ、
    高齢者の機能訓練など、病院やリハビリ施設、老人ホーム、
    在宅医療の現場などで活躍しています。

    病院内では、他の医療スタッフとの連携するチーム医療において、
    歩く・立つ・起き上がるといった基本動作の回復を
    サポートする中心的役割を担うのです。
    急性期医療では、手術直後や病気の発症の早い段階などの
    不安定な時期にリスク管理を行ったり、
    状態の回復や症状の安定を目的とした理学療法を行っていきます。

    この段階では早期介入と早期離床に重点が置かれます。
    患者さんによって多種多様かつ複雑で、非常に不安定な時期であるため、
    臨床の知識と細かな気づきや経験をフル活用しながら、
    医師や看護師等のスタッフと連携することが要求されるのです。
    状態が回復してくる回復期においては、機能回復や能力の改善を目的として、
    もっとも理学療法が効果的に実践できる段階に入ります。

    リスクの高い段階を脱し、退院できる状態といっても、
    理学療法に基づくリハビリを行うか否かで、
    日常生活において独りでできる動作に格段の違いが生じます。
    いかに生活範囲を拡大させられるかに重点をおいて、
    理学療法を実践していくのです。

    さらに、次の段階である生活期においては、
    状態が元に戻るなどの悪化の防止や、
    自己の能力を最大限に引き出して自立した生活を送れるよう
    サポートすることが必要になります。

    デイサービスセンターでも活躍

    リハビリテーションセンターや介護施設の1つである
    デイサービスセンターなどにおいて、定期的に理学療法を継続していきます。
    また、地域に密着した形で訪問リハビリテーションを行うケースもあるのです。
    退院したものの引きこもりがちになる高齢者や療養患者等に、
    日常生活のメリハリと楽しみを感じてもらいながら、
    いかに希望を持たせてあげるかが重要になります。

    生活期の段階でも、理学療法次第で、さらに能力を伸ばし、
    機能を回復させていくことが可能なのです。
    後遺症をもたらしやすい脳梗塞や心筋梗塞などの生活習慣病患者が増える一方で、
    超高齢化社会を迎える日本においては、理学療法士の必要性は高まるばかりです。

    スポーツ医療においても活躍

    また、スポーツ医療においては、単に日常生活における機能や
    動作を回復させるだけでは足りず、
    元のように激しいスポーツができるよう改善していくという課題が課せられます。

    生物学的に筋肉や骨の仕組みを分析し、
    1人1人の選手のケガの状態と取り組むスポーツを深く理解し、
    選手の希望を叶えていく必要があります。

    いずれのケースにおいても、理学療法による機能面のサポートと同時に、
    精神的な面への心理学的なサポートを実践することが重要です。
    どのような状況においても、
    患者さんや家族の笑顔をあきらめない強い精神力と粘り強さが、
    理学療法士に求められています。

  • 臨床心理士

    需要の高い臨床心理士

    少し前までは、精神的な疾患といえば、
    精神科医による治療やカウンセリングが主流でした。
    しかし、現代社会においては働き過ぎや
    過度な競争・あふれる情報・複雑な人間関係などにより
    ストレスを抱える人が増えています。

    不登校や出社拒否・自殺といった問題が表面化し、
    うつ病などの精神疾患にかかる人やメンタル面で
    悩みを抱える人が多くなっているのです。
    精神科にかかったり、休職や自殺に追い込まれる前に手を
    差し伸べることの必要性が増しており、
    企業などでは専門の担当者を置くなどメンタルヘルスケアに力を入れています。

    また、学校や職場などで事故や事件が発生したり、
    大きな災害が発生した場合には、関係者や被害者の受けたショックを緩和し、
    PTSD(心的外傷後ストレス障害)を防止するために、
    専門のカウンセラーを派遣したというニュースをよく見聞きすると思います。
    今は精神状態が悪化してからの治療よりも予防に重点が置かれてきているのです。
    こうした予防医療の現場で求められているのが臨床心理士です。
    精神疾患の予防や今あるストレスを取り除く役割を期待されています。

    もっとも、臨床心理士は治療の現場においても活躍していますがこの点、
    精神科医による治療は必ずしも心の悩みの根本にアプローチするのではなく、
    その状態を抑制するための投薬など一時的で
    即効性のある治療がメインになってしまうことが起こるのです。

    どのような仕事をしているのか

    これに対し臨床心理士は、まず人の話に耳を傾け、
    信頼関係を築いて凝り固まった心をほぐし、
    カウンセリングや伝統的な心理療法を用いて、
    ゆっくりと時間をかけて治療を行っていきます。

    こうしたアプローチをとることで、
    人が恐いとか病院での治療は受けたくないと思っている方にも、
    心の病から解放される機会を与えていくことができるのです。

    なお、メンタルヘルスに関するカウンセリングを行う人たちには、
    心理カウンセラー・セラピストなど様々な肩書がありますが、
    臨床心理士は、日本臨床心理士資格認定協会の認定を
    受けた心理専門職を指しています。

    臨床心理士資格が登場したのは1988年で、
    2011年4月1日時点で2万名を超す臨床心理士が誕生しています。
    臨床心理士の資格は5年ごとの更新制となっており、
    一定の研修を受けながら、知識やスキルの洗練に務めなければなりません。

    日々の鍛練が必要なことはどの資格においても同じですが、
    臨床心理士はさらに人間性の向上など、
    人から求められ頼られる人間であることも強く要求されます。
    また、臨床心理士の活躍の場は幅広いので、
    どのような場所で人々のサポートをしていくのか、
    自分なりに目標設定をして経験を積んでいく必要があります。

    臨床心理士の活躍の場

    ここで、その活躍の場の一部を紹介してみましょう。
    精神科・心療内科・小児科などでカウンセリングを担当するほか、
    病院内に特別のカウンセリング室が設けられ、
    慢性疾患の患者や障害者や高齢者のケアなどに当たることもあるのです。
    アルコール中毒や薬物中毒患者の治療や
    比較的新しい診療科目である禁煙外来においても、力を発揮しています。

    また、保健所や精神保健福祉センター、
    児童相談所でDV問題や引きこもりの相談に応じたり、
    老人保健施設やリハビリテーションセンターで利用者や
    その家族の相談に応じることもあり、引く手あまたの状態です。

    そのほか、学校のスクールカウンセラーや企業の健康管理室等で
    生徒や従業員のメンタルケアをサポートしたり、
    家庭裁判所や少年鑑別所などで犯罪者や更生が必要な方の支援を行うこともあります。

    もちろん、個人や法人形態で幅広く悩みに応えるカウンセリングを行ったり、
    心理学セミナーを開催するといった活動に資格を活かしている人もいます。

    ストレス社会といわれる日本では、小さな子供からお年寄りまで年代や性別、
    立場や役職等を問わずメンタル面で不安を抱えている人がおり、
    臨床心理士はまさに時代に求められた仕事で、今後も必要とされ続けることでしょう。

  • 診療放射線技師

    診療放射線技師=レントゲン技師

    診療放射線技師は、医師や歯科医師から直接言われて、
    検査や治療のために人の体に放射線を照射できる唯一の医療技術者で、
    一定の養成課程を経て試験に合格し、
    厚生労働大臣による免許を得て仕事をしています。

    一般の方からはレントゲン技師、エックス線技師などと呼ばれることが多いですが、
    正式な資格名は診療放射線技師と言います。
    放射線はX線検査に用い病気の発見に広く役立てることができるのです。
    一方で、同じ物質から作られる原子爆弾や原発事故の恐怖からも分かるように、
    非常に危険性を有するものでもあります。

    そのため診療放射線技師には、放射線に関する高度な専門知識と高い技術、
    そして、大きな倫理的な責任が求められるのです。
    健康診断や病院でレントゲン撮影室に入る際、
    危険物取り扱い等の文字を見かけると思いますが、
    診療放射線技師は放射線を用いて検査を行うだけでなく、
    放射線の安全な管理や取り扱いの責任も負っています。

    診療放射線技師の仕事とは

    診療放射線技師は一見地味な仕事に思えますが、
    医療現場においてなくてはならない不可欠の存在です。
    X線撮影やCTスキャン等による画像診断をはじめ、
    ラジオアイソトープ検査やRI検査とも呼ばれる核医学検査、
    そしてガンの効果的な治療法の1つである放射線治療など、幅広く活躍しています。

    つまり、診断のための検査にとどまらず、
    治療の領域でも診療放射線技師は必要不可欠になっているのです。
    今後もさらなる医療技術の進歩により、ますます活動領域が広がっていくことでしょう。
    このことからも、常に安定した求人があり、
    就職や転職も比較的スムーズに行く職種です。

    診療放射線技師の活躍の場

    ここで、診療放射線技師の活躍の場を具体的に見ていきましょう。
    診療放射線技師が担う重要な仕事に、治療を前提としたX線撮影があります。
    体調が悪くて病院に行くと、
    「ではちょっと検査をしておきましょう」と医師に言われて、
    看護師に案内される先はたいていレントゲン室だと思います。

    これほど、医師の診察において重要な役割を果たしているのがX線撮影です。
    診察だけでなく、毎年の職場等での健康診断でもX線検査は行われています。
    肺のほか、胃のレントゲン撮影もありますし、
    乳がんの早期発見のためのマンモグラフィ検診を担っているのも診療放射線技師です。

    各種の検査からも分かるように、医師の治療に役立てるための検査だけではなく、
    病気の早期発見など予防医療に対しても、大きな役割を担っていることが分かります。
    こうした検査を通じて多くの人と接する診療放射線技師には
    コミュニケーション能力や相手への細やかな配慮が求められます。

    女性には撮影にあたって恥ずかしくないように気配りしたり、
    多くの方が嫌がるバリウムを用いた胃の検査では、
    少しでも気持ちよく負担をかけずに撮影できるよう心配りが必要です。
    また、小さな病巣を見逃さないためには、撮影に影響しないよう、
    撮影時の緊張をほぐすことも大切なことです。

    一方で、診療放射線技師は放射線を用いない検査業務も担います。
    MRI、超音波検査、眼底検査といった病気の発見に不可欠な検査を実施します。
    このように診療放射線技師は、放射線をはじめ、
    最新医療技術を用いた高度な知識とスキルが常に求められる仕事です。

    例えば、マンモグラフィ撮影装置を扱うには特に高度な技術が必要で、
    養成課程ではもちろん、実務についてからも
    常にブラッシュアップが要求されることになります。

    スキルアップのための奨励制度

    そのため、日本診療放射線技師会では、
    アドバンス放射線技師・シニア放射線技師・マスター放射線技師という
    技師格認定制度を設け、継続的なスキルアップを奨励しています。

    さらに、原発事故に伴い放射能に対する国民の不安が広がる中、
    放射能に関する高度な知識を持つ診療放射線技師や、
    放射線カウンセラーとして養成された診療放射線技師が、
    放射線被ばくに関する個別相談に乗るなど、
    その知識と経験を活かし人々の不安を取り除くための活動も行っているのです。