カテゴリー: 治療する

  • 歯科医

    歯科医

    ただ歯を治すだけではない歯科医

    歯科医は、虫歯を治療したり、
    最近話題のインプラント治療を手掛けたりするだけではありません。
    歯科医と一口にいっても、多様な専門分野や働き方があります。

    まず働き方でいえば、開業医と大学病院や総合病院に勤務する勤務医がいます。
    一般的に病気になったら病院、歯の治療なら歯科医院という使い方をされる方が
    多いので、病院内の診療科目に歯科があることを知らない方もあるようです。
    開業医の中ではさらに、自分の得意分野や一定の治療に特化して
    診療を行う歯科医もいます。

    歯列矯正やホワイトニングが流行

    もちろん、小さな虫歯の治療や歯の検診も行うのですが、
    クリニックの宣伝や主な収入源とする分野を絞るというものです。
    幾つか挙げてみますと、矯正歯科・審美歯科・インプラントという感じです。
    矯正というと昔は子供の頃に行うものというのが一般的でしたが、
    現在では大人になってから矯正を行う人も増えています。

    矯正歯科を専門に手掛ける場合には、
    従来の歯の表面に銀色のワイヤーを長期間にわたって装着する方法だけでなく、
    歯の裏側にワイヤーをつけ人から気づかれないように矯正を行う方法や、
    その人ごとに作る透明のマウスピースを装着して行う痛くない矯正方法など
    様々な技術を習得し、患者さんの多様なニーズに応える必要があります。

    歯並びや噛みあわせの改善は容姿のコンプレックス解消だけでなく、
    肩こり等という体の不調の改善にもつながるので、
    大人になってから行うことにも意義があるようです。
    審美歯科は歯並びをよくしたり、歯の色を白くしたりするという
    技術を手掛けるものです。

    ホワイトニングや歯のマニキュアなどの手軽な方法に始まり、抜歯をして
    歯の並び具合を整えたり、歯の表面を削って人工の白い歯を取り付けたりします。
    基本的に治療目的ではなく、美容目的に当たるので健康保険は適用されず、
    全額自費の治療になります。

    芸能人だけでなく、営業や接客に携わる仕事をしている方や、歯並びや歯の色が
    汚いことにコンプレックスを持っている方などの利用があるのです。
    インプラント治療とは顎の骨にボルトを入れ、
    人工歯根と人工の歯を挿入する手術を要す治療のことで、入れ歯と比べ、
    まるで自分の天然の歯のように機能をすることから人気が高まっています。

    インプラント治療の拡大

    インプラント治療を手掛けるクリニックが増えているのは、
    高齢化をにらんだビジネス展開に1つの理由を求められます。
    高齢化の影響で加齢による歯の劣化を防止改善し、
    健康な歯で食事をとれることが長寿につながるとの考えがあるのです。

    インプラント治療も健康保険の適用はなく、全額自費治療になります。
    これに対し、大学病院においては歯のみならず、
    口の中全体を診る口腔外科が主流となっているのです。

    病院によっては、さらに細かく専門化され、虫歯科・小児歯科・歯周病科・咀嚼科・
    かみあわせ科・矯正歯科・口腔内科・口腔外科・歯科放射線科・歯科麻酔科などに
    分かれています。

    一昔前は、歯科医は開業すれば儲かるというのが通説でしたが、
    現在は、巷の歯科医院はコンビニの数よりも多いと言われ、競争が激化しています。
    歯科医開業にあたっては、高額の診療機器の購入やリースが必要であり、
    歯科衛生士等も雇う必要があります。
    最近では年収300万円で家族を養いギリギリの生活という開業医もおり、
    廃業する歯科医も珍しくないようです。

    立地や患者のニーズがあるか、どのくらいの収入が見込めるかなど、
    事前にしっかりリサーチしてから開業に踏み切る必要がありそうです。

    いつの時代も常に求められる職業であることは確かですが、どのような働き方で、
    どの分野を重点におき、どこで開業するのか、それとも勤めるのかを、
    慎重に考えることが求められる時代になっているようです。

  • 医師

    医師の働く環境

    人々の命を救い、病気やけがの苦しみから解放してくれる医師は、
    患者さんやそのご家族にとっては、とても重要な存在となります。
    難しい手術を次々に成功させ神の手と呼ばれる医師がいたり、最近ではネットや
    書籍で、この病気ならこの医者だと名医が検索できるほど情報もあふれています。

    しかし、どんなに優れた医師でも、すべての病気を100%治せるわけではありません。
    時には救えない命があり、目の前で息を引き取る患者さんと
    対峙し自分の無力さと無念さに打ちのめされる時もあります。

    医師には法律上、応召義務があり、
    いつどんな時でも求められれば診療を拒むことができません。
    また、病院の多くで医師に病院から30分以内の所に住むことを義務付けたり、
    呼び出しがあれば直ぐに駆けつけられたりすることが求められます。
    笑い話ではなく実際にあった話ですが、婚活のため合コンに参加しても、
    お酒の一口たりとて口にせず、ずっと携帯を気にするといった状況です。

    まさに医師は、自分の生活を多少犠牲にしてでも
    患者の命を救うために尽力する聖職者であるのです。
    そのため、報酬が高いのも当然で、常に患者さんの命やリスクと向き合い、
    緊張と集中力を強いられる医師にとっては、決して高いとはいえないのかもしれません。

    医師不足の問題

    この点、最近の社会では医師の世界に偏りが生じています。
    都心の大学病院は直ぐに求人が埋まるほど人気があっても、地方では医師不足が
    深刻であったり、高い報酬が見込める美容整形外科などの成り手は多くても、
    リスクや負担が大きい産婦人科や小児科では医師が不足していたりするというものです。

    地域的な偏在は、特に研修医のマッチング制度を導入してから拡大しているようです。
    医師免許取得後の最初の研修場所を選べるようになり、
    医師の卵たちは自分の理想に近い研修を実施している病院に希望を出します。
    これにより大学は地方の医大を卒業したのに、その大学病院で研修を行わず、
    都心の病院に移ってしまうという事態が発生しています。

    研修医は病院スタッフの一翼を担い、研修後はその病院で勤務することが
    期待されるだけに、研修医の減少は病院にとって大きな痛手です。

    また、本来であれば、産科医療や小児医療、地域医療含めてすべてを
    経験するべきですが、自分が目指している診療科以外の研修は行わなくてよい
    プログラムを組んでいる病院に希望を出す傾向も見られるようです。

    一方、美容整形外科や美容皮膚科が人気なのは、日勤で当直がなく、
    基本的に疾患を有する患者の治療ではないので、リスクも少なく、
    人の死に直面しなくて済む、そして高報酬が得られるという理由のようです。

    若手医師に期待をしている

    こうした若手医師の傾向がある中でも、
    高齢化に伴いニーズが増している在宅医療に積極的に取り組む医師もいます。
    ガン患者や慢性疾患を患う患者が自宅での療養を希望する場合や、
    持病を患っていたり寝たきりだったりの高齢者宅を定期的に訪問し、
    緊急時には駆けつけて診療を行う医師です。

    また、糖尿病専門医や循環器専門医等の専門医を目指して、
    専門知識や治療技術の向上に努め、患者の期待に応える医師もたくさんいます。
    医師自体が専門職なわけですが、
    さらなるスキルアップやキャリアアップを目指すわけです。

    こうした先輩たちの姿を見て、自分も続こうと頑張る若手に期待したいですし、
    医療改革や医師自らの選択により、診療分野の偏在や地域による
    医師不足が解消されるよう願わずにはいられません。